「能登応援落語会・チャリ亭」プロジェクト

 まずは震災で亡くなられた方々へお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々の一日も早い復旧、復興をお祈りしております。

 元日に発生いたしました「令和6年能登半島地震」は、直視することのできないような大災害でした。それは、今なお復興活動を続けている先年の東日本大震災を彷彿とさせ、衝撃的な映像、緊迫感のある避難要請アナウンスとともに、我々に厳しい現実を突きつけました。

 昔ながらの茶屋町が佇む金沢を擁する石川県は、時代を超えて輝き続ける稀有な「芸どころ」です。能登地方にも、伝統の陣太鼓をはじめ、江戸から脈々と受け継がれている文化が生きています。

 少なからず、我々もその「伝統芸」に列する皆様の末席に連なる自覚があります。また、ここにおります三名ともに、お声かけを頂戴し、石川県にて高座を勤めさせていただいております。そんなご当地に早く日常が戻ることを祈念し、このたび復興支援「能登応援落語会・チャリ亭」プロジェクトを立ち上げました。

 この呼びかけに、党派を超えて、大御所から若手まで、多数の方々が手を上げてくださいました。さらに演芸に携わるスタッフの皆様にもご賛同を頂き、まずは「迅速さ」が大切と、比較的ハンドリングしやすい人数の会場で開催することになりました。

 企画の発案者である春風亭柳枝が発起人総代表となり、らくごカフェ、オフィスエムズ提供の赤坂会館、ばばん場の三会場で十六公演の開催が決まりました。

 この「能登応援落語会・チャリ亭」につきましては、入場料は三千円に統一し、各会場でチャリティオークションもいたします。入場料を含む、全ての売上は、春風亭柳枝と御縁が深い「公益財団法人・風に立つライオン基金」を通じて、被災地への義援金として寄付させていただきます。

 番組や開催時刻は、それぞれの会場の特色をだしております。各会場の番頭は、らくごカフェは春風亭柳枝、赤坂会館は柳亭小燕枝、ばばん場は柳亭小痴楽が勤めております。

 復興支援に大切なのは前述の「迅速さ」と、一時の盛り上がりではない「継続性」だと考えております。足を運んでくださる演芸ファンのお客様とともに、我々の可能な範囲でコツコツと継続して参ろうという所存でございます。

 空襲の中でも営業を続けていた寄席の灯が、急に消えてしまった十三年前。それまでは当たり前だと思っていたことがどれほど尊く、お客様の前でお喋りするひとときが宝物のような時間だったかを深く心に刻みました。

 演芸人の誰しもが心に残す、あのときの色褪せない気持ちを胸に、現地の方々が大笑いできる日を早く取り戻せますように、微力ながら精進してまいります。

春風亭柳枝・柳亭小痴楽・柳亭小燕枝

(2024年1月13日 記者会見にて発表)